外部サービスをAI社員に操作させる(API / MCP連携)

MIERU CREW 操作マニュアル — 会計SaaS(freee等)・Gmail・社内APIをAI社員に安全に操作させる

このマニュアルでできること

AI社員に「freeeの未処理明細を確認して仕訳の候補を作って」のように、外部サービス(SaaS・社内API)を使う仕事を任せられるようになります。会計SaaS(freee)を例に、コネクタの接続からAI社員への能力付与、書き込みの承認までを説明します。

操作の種類実行タイミング例(freee)
読み取り(read)即時実行(結果がその場で返る)未処理明細の一覧、試算表の取得
書き込み(write)管理者の承認後にプラットフォームが代理実行取引(仕訳)の登録
本マニュアルの操作にはMIERU CREWコンソールへのログインが必要です(アカウントの作成・ログイン方法は「1. アカウント登録とログイン」を参照)。
公式コネクタとしてGmail・freee・Google Drive・SharePoint / OneDrive(Microsoft Graph)・Web(ヘッドレスブラウザ)・Threads(Meta)が接続可能です。Threads の使い方は「Threads に投稿する」の節を参照してください。その他の会計SaaS・社内APIはカスタムコネクタ(後述)で追加できます。ファイル系コネクタとナレッジベース(RAG)の使い方は「ファイルを扱う」の節、Web検索・ブラウザ操作は「Webを閲覧・操作させる」の節を参照してください。

仕組み(先に全体像)

  1. AI社員はサンドボックス内からMCP(mcporter)でコネクタのツールを呼び出します(呼び方はAI社員に自動で案内されるため、ユーザーが意識する必要はありません)
  2. APIキー・OAuthトークンなどの認証情報はプラットフォーム側(Connector Gateway)だけが保持し、暗号化保管されます。AI社員のサンドボックスには渡りません
  3. 読み取りは即時、書き込みは承認申請の起票→管理者承認→プラットフォームが代理実行という流れになります
  4. 宣言されていないコネクタの呼び出しは自動ブロック(fail-close)され、すべての操作が監査ログに記録されます
つまり「AI社員が外部サービスを直接触る」のではなく、AI社員はMCPで“依頼”し、実行はプラットフォームが統制付きで代行する構造です。自律性と統制(誤記帳・暴走の防止)を両立します。

手順1: コネクタを接続する(管理者・最初の1回だけ)

サイドバーの Connectors(Connector Settings)を開き、使いたいコネクタを接続します。

Connector Settings(公式コネクタのOAuth接続とカスタムコネクタの認証設定)
トークン類はすべて暗号化(Fernet vault)して保管されます。Connector Kill Switch(Cost & Policyページ)で、コネクタ単位の新規受付を緊急停止できます。

手順2: AI社員に能力を付与する

外部サービスを使えるのは、能力プロファイルとコネクタ宣言を持つAI社員だけです。

能力プロファイルできること
connector_assist宣言済みコネクタの読み取り(照会・分析・下書き作成)
connector_write読み取りに加えて書き込みの起票(実行は承認後)
1採用時に付与する

Agent Storeのペルソナ詳細に能力プロファイルと必要コネクタが明示されています。コネクタを使うペルソナの採用には管理者の承認(R3)が必要で、承認するとその能力で稼働を開始します。Persona Studioで自作するペルソナも同様に、能力・権限タブでプロファイルとコネクタを宣言します。

2採用後に確認する

Office ViewでAI社員をクリック → サイドバーの Capabilities で、そのAI社員に許可されたコネクタ・ツール権限をいつでも確認できます。

コネクタ宣言は採用時に確定し、採用後に追加することはできません(変更はペルソナの新バージョン作成→公開承認→再採用。スキルは採用後もCapabilitiesページから追加できます)。接続の全体像はマニュアル「ペルソナを選んでから実際に動かすまで」の「接続の全体像」を参照してください。
Capabilitiesページ(スキル・コネクタ・ツール権限)
⚠ 宣言のないAI社員からはコネクタのツール自体が見えません。仮に呼び出しを試みても、実行前にブロックされ(fail-close)、その事実が監査ログに記録されます。

手順3: 操作を依頼する

あとはCommand Inbox(またはSlack等のチャネル)で、普通に仕事を頼むだけです。

例:
「freeeの未処理明細を確認して、仕訳の候補を作ってください」
「今月の試算表を取得して、前月と比べた変化を要約してください」
「この経費明細をfreeeに取引として登録してください」   ← 書き込み(承認フローへ)

AI社員は内部でMCPツール(例: freee.list_wallet_txns / freee.get_trial_balance / freee.create_deal)を呼び出して作業します。読み取り結果を使った分析やレポート・ファイル作成(成果物としてダウンロード可能)も組み合わせられます。

手順4: 書き込みを承認する(管理者)

AI社員が書き込みツール(例: freeeへの取引登録)を呼び出すと、即時実行ではなく承認申請が起票されます。管理者は全社承認ボードで「何を・どう書き込むか」を確認して承認・却下します。

全社承認ボード(コネクタ書き込みの承認)

承認されると、プラットフォーム(Connector Gateway)が次の保護付きで代理実行します。

承認依頼はチャネル通知設定(チャネル連携マニュアル参照)でSlack等にも届きます。承認そのものは全社承認ボードで行います。

ファイルを扱う(Google Drive / SharePoint / OneDrive・ナレッジベース)

ファイル系の公式コネクタ(google-drive / microsoft-graph)を宣言したAI社員は、外部ストレージ内のファイルを検索・取得・編集・書き戻しでき、文書の内容をナレッジベース(RAG)に取り込んで以後の回答に活用できます。

検索と取得(読み取り・即時)

例:
「Google Driveで先月の経費精算ルールのファイルを探して要約してください」
「SharePointの総務ポータルにある就業規則の最新版を開いて、変更点を教えてください」

編集と書き戻し(書き込み・承認制)

例:
「この報告書のドラフトを修正して、Driveの経理フォルダにアップロードしてください」

ナレッジベース(RAG)に取り込む

例:
「この就業規則をナレッジベースに取り込んでください」
「ナレッジベースで経費精算のルールを調べて答えてください」
ファイル1件20MB・対応拡張子(docx / xlsx / pptx / pdf / csv / txt / md 等)の制限があります。受け渡しファイルの本体はAI社員の会話コンテキストや監査ログには載らず、ID参照で安全に受け渡しされます。実OAuth接続(Google Cloud / Microsoft Entra IDのクライアント登録)までは、fixture(サンプルファイル)モードで一連の動きを試せます。

Webを閲覧・操作させる(Webコネクタ)

Webコネクタ(web)を宣言したAI社員は、ヘッドレスブラウザでWeb検索・ページ閲覧(読み取り・即時)と、フォーム入力・クリック・送信などのページ操作(書き込み・承認制)ができます。APIが公開されていないSaaSを画面越しに操作したいときに使います。

検索と閲覧(読み取り・即時)

例:
「『社内規程 経費』でWeb検索して、上位の結果を教えて」
「https://example.com/news を開いて要点を3行で要約して」

ページ操作(書き込み・承認制)

クリック・入力・送信といったページに変化を与える操作は、管理者が登録した「Write許可ドメイン」のページでのみ行え、実行前に承認が必要です。

1許可ドメインを登録する(管理者)

Connector Settingsの「web」の行で、操作を許可するドメイン(例: portal.example.co.jp)を追加します。ここに無いドメインでは操作の起票自体ができません(閲覧は可能)。

2AI社員に操作を依頼する

AI社員が操作を実行しようとすると、そのときの画面のスクリーンショット付きで承認申請が起票されます。管理者は全社承認ボードで「どのページで・どんな手順を行うか」を確認して承認します。承認後は、起票時と同じページのままであることを確認したうえでプラットフォームが操作を実行します(ページが変わっていたら中止)。

検索を正式APIにする(web-searchコネクタ)

Webコネクタの検索は簡易的なもの(検索結果ページの解析)のため、業務で検索を多用する場合は検索エンジンの正式APIを使う公式コネクタ web-search を推奨します。

  1. Brave Search API(月2,000クエリ無料)またはTavily(月1,000クエリ無料・AIエージェント向けで要約回答つき)のAPIキーを取得します
  2. 環境設定 WEB_SEARCH_PROVIDER=brave または tavily でエンジンを選択します
  3. Connector Settingsの「Web検索(Brave / Tavily)」の行で「APIキー設定」から登録します(暗号化保管)
  4. AI社員のペルソナに web-search コネクタを宣言すると、検索は自動的に正式API側が優先されます
web-searchは読み取り専用(即時実行)です。キー未設定のあいだは実行時に「APIキーの設定が必要」と案内されます。

SaaSへのログイン

ログインが必要なSaaSは、Connector Settingsでドメインごとにユーザー名・パスワードを登録します(許可ドメインのみ・パスワードは暗号化して保管)。

パスワードはAI社員には一切渡りません。AI社員は「どの入力欄にユーザー名/パスワードを入れるか」だけを指定し、実際の値はログインの実行時にプラットフォームが安全に補完します。承認画面・監査ログにもパスワードは残りません。
⚠ AI社員はWebページに書かれた文章を「指示」としては扱いません(ページ内の『このリンクを開け』等に従わせない安全対策)。また、フォーム送信・購入・投稿などの操作は必ず承認制の web.act 経由に限られ、許可ドメイン外では実行できません。公式APIがあるSaaSは、より確実なカスタムコネクタ(後述)の利用を推奨します。

Threads に投稿する(threads コネクタ)

公式コネクタ threads を宣言した AI 社員は、自社の Threads アカウントの投稿一覧・効果指標(表示・いいね・返信・リポスト・引用・シェア)・返信と、Threads 上の公開投稿のキーワード検索を読み取れ(即時)、投稿・返信の公開を承認制で行えます。SNS 運用(調査 → 企画 → 投稿 → 効果測定)を AI 社員に任せるときの基盤です。

接続する(管理者・最初の 1 回)

  1. Meta for Developers で「Threads API」ユースケースのアプリを作成し、リダイレクト URL に https://<コンソールの公開 URL>/api/connectors/threads/oauth/callback を登録、投稿に使う Threads アカウントをテスター(または本番ユーザー)として追加します。
  2. アプリの ID とシークレットを環境設定 THREADS_OAUTH_CLIENT_ID / THREADS_OAUTH_CLIENT_SECRET に設定します(テナント管理者または運営が実施)。
  3. Connector Settings の「Threads (Meta)」の行で「OAuth接続」を押し、Threads の認可画面で許可します。接続後のアクセストークンは 60 日ごとに自動更新されます(長期間まったく使わなかった場合のみ再接続が必要です)。
未接続のあいだは fixture(疑似データ)で動作します。競合アカウントの投稿を読む機能(profile_lookup / profile_posts)は Meta の「Profile Discovery」審査に通過したアプリでのみ使えます。それまでは自アカウントの投稿とキーワード検索が対象です。

依頼する

例:
「先週の投稿の表示数といいね数を一覧にして、伸びた投稿の共通点を教えて」
「『AI社員』でキーワード検索して、今日盛り上がっている話題を 3 つ挙げて」
「明日の朝に投稿する本文を 3 案作って、いちばん期待できる案を推薦して」
「案 2 を投稿して」 → 承認カードが届きます

画像付きで投稿する

AI 社員が /out/ に用意した PNG / JPEG(media コネクタで生成した画像や、加工した画像)を 1 枚添えて投稿できます。起票時点の画像が承認対象になり、承認カードの添付チップから内容を確認できます。公開時にだけプラットフォームが15 分間有効な署名付き URLを発行して Meta に画像を取得させ、公開後すぐに失効させます。

⚠ 画像付き投稿には、コンソールのバックエンドが Meta から到達できる公開 URL(PUBLIC_BASE_URL、未設定時は OAuth の OAUTH_REDIRECT_BASE)が必要です。ローカル環境では画像付き投稿は失敗します(テキスト投稿は可能)。

制限事項

freee以外の会計SaaS・社内API・MCPサーバをつなぐ(カスタムコネクタ)

マネーフォワード等の他の会計SaaSや社内APIは、Persona Studioの「コネクタ開発」でWebUIだけから追加できます(git・CLI不要)。種別はREST APIMCPサーバの2つです。

MCPサーバを選ぶと、外部のMCPサーバ(SaaS公式のMCP・自社で立てたMCP等。streamable HTTP)のURLと認証を宣言し、「ツールを取得」でツール一覧を取り込んで、使うツールだけを採用します。AI社員がMCPサーバへ直接つながるわけではなく、採用したツールをConnector Gateway経由で呼び出します(公式コネクタ・REST APIコネクタと同じ統制)。MCPにはツールの副作用の区別が無いため、採用した各ツールをread / write に分類する必要があります(writeは承認制)。

  1. 認証方式を選ぶ: APIキー / Bearerトークン / OAuth2 / 認証なし
  2. readツールを宣言する(GETのみ。URL・パラメータ・説明)
  3. writeツールを宣言する(読み戻し検証 verify の定義つき: 実行後にどのAPIで何を確認するか)
  4. テナント内の公開承認(4-eyes)を経ると、公式コネクタと同じ統制フロー(read即時 / write承認制・fail-close・監査)で利用できるようになります
Persona Studio コネクタ開発(汎用RESTコネクタの宣言)
宛先URLにはSSRFガード(内部ネットワーク宛の遮断)が適用されます。複雑なID解決や特殊な検証ロジックが必要なサービスは、公式コネクタとしての受託開発もご相談ください。

コミュニティMCPサーバをワンクリックで使う(運営カタログ)

自分でMCPサーバの定義を書かなくても、運営が公開しているコミュニティMCPサーバをそのままコネクタとして使えます。運営は公式MCP Registryのサーバを毎日自動で取り込み、ツールを読み取り/書き込みに分類したうえで、次のレーンで公開しています。

レーン意味テナントでの有効化
Green(すぐ使える)全ツールが読み取り専用・認証不要で、自動判定をすべて通過。人手を介さず公開即時。押した瞬間にコネクタとして有効になります
Yellow(運営審査済み)書き込みツールを含む(公開定義からは除外済み)/APIキーが必要、など運営が1画面で確認して公開承認申請が起票され、テナント内の承認者が承認すると有効になります
1Connector Settings の下部「コミュニティMCPサーバ(運営カタログ)」を開く

公開中のサーバがカードで並びます。レーン、読み取りツール名、「APIキー必要」の有無、機械翻訳バッジが表示されます。

2「有効化」を押す

Green はそのまま有効になり、Yellow は承認申請(R3)が起票されます。有効化されたサーバは custom.<名前> というIDのコネクタになり、上の Connector Settings 一覧にも表示されます。

3APIキーが必要なサーバは、自社のキーを登録する

「APIキー必要」のサーバは、有効化(承認)後に Connector Settings 一覧の「APIキー設定」からそのサービスのキーを登録してください。登録するまで、AI社員からの実行は「キー未設定」で止まります(運営のキーが配布されることはありません)。

4AI社員に宣言する

他のコネクタと同じく、使わせたいAI社員の required_connectors(Persona Studio の能力・権限タブ、または Capabilities ページ)にそのコネクタIDを宣言します。読み取りは即時、書き込みは承認制という統制はそのままです。

公開後の見守り: 運営は公開中のサーバを毎日確認しています。ツールの定義が変わって読み取りでなくなった、認証を要求し始めた、数日つながらない、といった場合はサーバが隔離され、テナント側でも自動的に無効化されて通知が届きます。有効化を解除したいときは、同じカードの「無効化」を押してください。

コミュニティ REST API(OpenAPI)をワンクリックで使う(運営カタログ)

MCP サーバと同じく、運営が公開しているコミュニティ REST APIもそのままコネクタとして使えます。運営は公開 OpenAPI ディレクトリ(APIs.guru)と手動登録の OpenAPI 定義を毎日自動で取り込み、GET エンドポイントだけをツールにして公開しています(書き込みは含まれません)。

有効化されたコネクタの ID は custom.api-スラッグ名(スラッグ名は運営カタログの ID) です。AI 社員には他のコネクタと同じく required_connectors で宣言します。ツールは OpenAPI の各 GET に対応し、パラメータは query と path のみです。応答は 2MB までに制限されます。

公開後の見守り: 運営は OpenAPI 定義を毎日再取得して比較しています。接続先が変わった、認証を要求し始めた、GET なのに状態を変更する定義になった、数日取得できない、といった場合はコネクタが隔離され、テナント側でも自動的に無効化されて通知が届きます。

制限事項

Web 閲覧許可ドメイン(AI 社員が読んでよい Web サイト)

Connectors 画面の Web コネクタ欄にある「Web 閲覧許可ドメイン」に登録したドメイン(サブドメインを含む)は、Web 調査以上の権限を持つすべての AI 社員が Web ページの取得に使えます。各 AI 社員が宣言しているドメインと合わせて適用され、登録外のドメインへのアクセスは遮断されて監査ログに残ります。変更は即時に反映され、再デプロイは不要です。

登録は Owner / Admin(コネクタ接続権限)だけが行えます。官公庁・業界団体・自社サイトなど、業務上必要な公開サイトに絞って登録してください。遮断が続く AI 社員はガーディアン AI が検知して Manager AI に報告し、必要に応じて一時停止します(「運用」のマニュアル参照)。

困ったとき

症状対処
AI社員が「そのサービスは使えない」と答えるCapabilitiesページで能力プロファイルとコネクタ宣言を確認してください。宣言がない場合は、宣言のあるペルソナを採用し直すか、Persona Studioで能力を宣言した新バージョンを公開します
読み取りが「新規受付できません」で失敗するConnector Settingsで当該コネクタが無効化(またはConnector Kill Switch発動中)でないか確認してください
書き込みがいつまでも実行されない全社承認ボードに承認待ちが残っていないか確認してください(書き込みは承認されるまで実行されません)
OAuth接続が失敗するClient ID / Secretの設定と、サービス側に登録したリダイレクトURLを確認してください。接続失敗中はfixtureモードで動作します
誰が何を実行したか確認したい当該AI社員のAudit Logで、呼び出し・ブロック・承認・実行・検証の全記録を確認できます