このマニュアルでできること
「勤怠SaaSにログインして今月の残業時間を調べ、集計CSVを受け取り、締め日の通知設定を変えておいて」といった、外部SaaSを相手にする一連の業務をAI社員に任せる方法を説明します。ログイン → 検索 → 値の取得 → ファイルの取得 → 設定変更の順に、依頼の仕方・裏側で起きること・管理者が承認する場面をまとめ、最後にガーディアン AI の常時監視・一時停止・Manager AI への報告・Kill Switchの関係を説明します。
AI社員がSaaSに到達する経路は3つあり、どれを使うかで「承認が要るか」「どこまで届くか」が変わります。公式APIがあるSaaSは経路①を、画面でしか操作できないSaaSは経路②を使います。経路③は公開ページを読むだけの軽い用途です。
| 経路 | 使う機能 | 向いている用途 | 統制 |
|---|---|---|---|
| ① API / MCP 連携 | 公式コネクタ(freee・Gmail・Google Drive・Microsoft 365・Threads)、Connector Studio のカスタムコネクタ(REST / OpenAPI・MCP)、運営カタログのコミュニティ REST / MCP | 検索・取得・ファイル取得・設定変更のすべて。最も確実で、値が構造化(JSON)で返る | 読み取りは即時、書き込みは承認制。到達先はコネクタごとに固定 |
| ② Web コネクタ(画面操作) | web コネクタ:検索・ページを開く・本文を読む・要素を探す・スクリーンショット・ページ操作(act) | APIが無いSaaSへのログイン、画面上の値の読み取り、フォーム入力による設定変更 | 閲覧は即時(非公開宛先は遮断)、操作はWrite許可ドメインのページだけ・毎回承認制。パスワードはAI社員に渡らない |
③ Web ページ取得(web_fetch) | AI社員本人がURLを指定して本文テキストを取得 | 官公庁・業界団体・自社サイトなど、ログイン不要の公開ページを読む | 宣言ドメイン+Web閲覧許可ドメインだけに到達可。ガーディアン AI が常時監視し、異常時は一時停止 |
仕組みと安全装置(先に全体像)
あなた ─依頼─▶ AI社員(Command Inbox / 定期タスク / Webhook / メール受信)
│
├─ 読み取り(開く・読む・探す・取得)……即時に実行、すべて監査ログへ
│
├─ 書き込み(ログイン・フォーム送信・設定変更・API更新)
│ └─▶ 承認カード(全社承認ボード / Approval Center)─承認─▶ 実行
│
└─ Web ページ取得(web_fetch)…… 許可ドメイン外は遮断(policy.web_blocked)
│
▼
ガーディアン AI が 60 秒ごとに取得ログを監視
├─ 警告 ……… インシデント記録 + Manager AI へ報告 + 通知
└─ 重大 ……… 60 分の一時停止 + Kill Switch 提案(承認)+ Manager AI へ報告 + 通知
承認 → Kill Switch(恒久停止) / 却下 → 一時停止を解除
- 読み取りは即時、書き込みは承認制。SaaSに変化を与える操作(ログインを含む)は、管理者が内容を見て承認するまで実行されません。
- 到達範囲は許可リストで決まります。ページ操作は「Write許可ドメイン」、ページ取得は「宣言ドメイン+Web閲覧許可ドメイン」だけです。それ以外は遮断され、遮断自体が監査ログに残ります。
- パスワードはAI社員に渡りません。ログインに必要な資格情報は管理者が暗号化保管し、承認済みの操作を実行する瞬間にプラットフォームが補完します。
- ガーディアン AI が常時監視します。遮断の連発・取得量の急増・URLに含まれる秘密情報らしき文字列・社内アドレスへの到達などを検知し、重大なものは自動で一時停止して Manager AI と管理者に知らせます。
- 最終手段は Kill Switch。ガーディアンの提案を承認すると該当AI社員は恒久停止します。管理者はいつでも手動で AI社員・コネクタ単位に停止できます。
準備(管理者・最初の1回だけ)
対象のAI社員の Capabilities ページで、能力プロファイルと宣言コネクタを確認します。SaaSにログインして設定を変えるところまで任せるなら、プロファイルはコネクタ利用(書き込みあり)で、web コネクタ(画面操作する場合)または当該SaaSのコネクタ(API連携する場合)が宣言されている必要があります。読むだけなら「Web調査」でも足ります。足りない場合は、宣言のあるペルソナを採用し直すか、Persona Studio で能力を宣言した新バージョンを公開します(採用時に管理者承認が入ります)。
Console の Connectors 画面にある Web コネクタの欄で、「Write許可ドメイン」に操作対象SaaSのドメイン(例: app.example-saas.com)を追加します。ここに無いドメインでは、ログインを含むページ操作の起票自体ができません(閲覧は可能)。ドメインは業務上必要なSaaSだけに絞ってください。
同じ欄の「SaaSログイン資格情報」で、手順2で許可したドメインを選び、ユーザー名とパスワードを登録します。パスワードは暗号化して保管され、AI社員・承認画面・監査ログには一切表示されません。可能であればAI社員専用のアカウントを発行し、権限を業務に必要な範囲に絞ってください(誰の操作かをSaaS側の履歴でも区別できます)。
同じ Connectors 画面の「Web閲覧許可ドメイン」に、AI社員が web_fetch で読んでよい公開サイト(例: www.e-gov.go.jp)を登録します。ここは全AI社員に共通で、各AI社員が宣言している外部通信先と合わせて適用されます。未登録のあいだは、宣言ドメイン以外のページ取得はすべて遮断されます。
freee・Gmail・Google Drive・Microsoft 365 は Connector Settings で OAuth 接続を、その他のSaaSは Connector Studio でカスタムコネクタ(REST / OpenAPI または MCP)を作成するか、運営カタログのコミュニティコネクタを有効化します。手順は「API / MCP連携」のマニュアルを参照してください。
手順1: SaaSにログインさせる
例: 「https://app.example-saas.com にログインして、ダッシュボードが表示されたら教えて」
AI社員は次の順に動きます。
- ログインページを開き(読み取り・即時)、ページ内のフォームと入力欄を一覧して、ユーザー名欄・パスワード欄・ログインボタンを特定します。
- 「ユーザー名欄に登録済みの値を入れる/パスワード欄に登録済みの秘密値を入れる/ログインボタンを押す」という操作手順(act)を組み立て、承認申請します。パスワードの実値は手順に含まれず、「資格情報を補完する」という指示だけが入ります。
- 管理者は全社承認ボード(または当該AI社員の Approval Center)で、起票時の画面スクリーンショット・対象URL・操作手順を確認して承認します。
- 承認後、プラットフォームは起票時と同じページのままであることとWrite許可ドメイン内であることを再確認してから、資格情報を補完して操作を実行します。ログイン後のページは同じブラウザセッションに保たれ、続く閲覧・取得はそのまま進みます。
手順2: 検索させる
SaaSの中で検索する
例: 「ログインしたまま、社員検索で『佐藤』を探して該当者の一覧を教えて」 「https://app.example-saas.com/reports?month=2026-08 を開いて、8月のレポート一覧を読んで」
- 検索結果をURLで直接開けるSaaS(検索語や期間がURLのパラメータになるもの)は、ページを開くだけなので即時に進みます。
- 検索フォームに入力して送信する必要があるSaaSでは、その送信はページ操作(承認制)になります。ログインと同じく承認カードが届きます。毎回の承認を避けたい場合は、URLで開ける画面を使うよう依頼するか、公式APIの検索を使う経路①を検討してください。
- API連携(経路①)なら、検索用のツール(例:
search・list_*)は読み取りとして即時に実行され、結果は構造化データで返ります。
公開Webを検索する
例: 「『電子帳簿保存法 改正 2026』でWeb検索して、上位5件の要点をまとめて」
web-searchコネクタ(Brave / Tavily の正式API)を宣言したAI社員は、業務用途に耐える検索ができます。未宣言でもwebコネクタの簡易検索が使えます。- 検索結果のページ本文を読むときは、AI社員は
webコネクタでページを開くか、許可ドメイン内であればweb_fetchで本文を取得します。許可外ドメインのweb_fetchは遮断され、監査ログに「Web 取得の遮断」として残ります。
手順3: 値を取得させる
例: 「今開いている勤怠一覧から、残業時間が45時間を超えている人の氏名と時間を表にして」 「請求書一覧の合計金額と件数を読み取って、Slackに報告する文面を作って」
- AI社員はページ本文をテキストとして読み取り(長いページは続きを順に読みます)、必要な値を抜き出して回答します。表・リンク・ボタン・入力欄の一覧を取ることもできます。
- 読み取った内容は、そのままチャットで返すほか、成果物(CSV・Markdown・Excel など)として保存させ、Command Inbox からダウンロードできます。「CSVにまとめて」と依頼してください。
- 画面の状態を証跡として残したいときは「スクリーンショットも添えて」と依頼します。画像は成果物として受け取れます。
- API連携(経路①)では、値はJSONで返るため読み間違いが起きにくく、定期タスクでの集計に向きます。
手順4: ファイルをダウンロードさせる
Webコネクタはブラウザの「保存」によるファイルダウンロードには対応していません(画面のスクリーンショットのみ取得できます)。SaaSからファイルを受け取るには、次のいずれかの経路を使います。
| 経路 | 依頼例 | 動き |
|---|---|---|
| Google Drive / SharePoint / OneDrive 経由 | 「共有ドライブの『勤怠エクスポート』フォルダの最新CSVを取り込んで集計して」 | SaaSのエクスポート先や共有フォルダにあるファイルを、ストレージコネクタの download_file(読み取り・即時)でAI社員の作業領域 /workspace/in/ に取り込みます。SaaS側に「Driveへ書き出す」機能があれば、それを設定変更(手順5)で有効化しておくと自動化できます |
| 公式API / カスタムコネクタ経由 | 「APIで先月の請求書PDFの一覧を取って、内容を要約して」 | 取得系のエンドポイントが公開されていれば、Connector Studio のRESTコネクタで読み取りツールとして呼び出せます。応答はテキスト / JSON として扱われます |
| メール受信トリガ(IMAP)経由 | 「SaaSからの『月次レポート』メールが届いたら添付を集計して」 | SaaSの「レポートをメール送信」機能を使い、Channels 画面のメール受信トリガで受け取ります。添付ファイルはAI社員の作業領域に配置され、そのまま処理できます(差出人の許可リスト・認証結果の検査つき) |
| Command Inbox に添付 | 「このCSVを集計して」(ファイルを添付) | 利用者が自分でダウンロードしたファイルをチャットに添付します。PDF・画像・音声・CSVなどが使えます |
web_fetch で本文テキストとして読めますが、ファイルそのものは保存されません。原本が必要なときは上の経路を使ってください。手順5: 設定を変更させる
例: 「通知設定ページで『締め日3日前にメールで通知』をオンにして保存して」 「取引先マスタで株式会社Managetechの支払サイトを『月末締め翌月末払い』に変更して」
画面操作で変更する(Webコネクタ)
- AI社員は設定ページを開き、変更対象の要素(チェックボックス・セレクト・入力欄・保存ボタン)を特定します。
- 「選択する/入力する/クリックする/送信する」を1回の申請につき最大10ステップにまとめ、変更前の画面スクリーンショット付きで承認申請します。
- 管理者は、対象URL・操作手順・スクリーンショットを見て、意図した変更かを確認して承認します。承認カードには「なぜその操作をするか(意図)」も表示されます。
- 承認後、起票時と同じページ・許可ドメイン内であることを再確認して実行します。実行後にAI社員へ「保存後のページを読み直して、設定が反映されたか確認して」と依頼すると、変更結果を読み取って報告します。
APIで変更する(公式コネクタ / カスタムコネクタ / MCP)
更新系のツール(例: update_*・create_*・PUT/POST/PATCH/DELETE に対応する操作)はすべて書き込みとして承認カードが作られ、承認後に実行されます。承認カードには送信されるパラメータがそのまま表示されるため、金額・宛先・IDを確認してから承認してください。
監視と停止(ガーディアン AI の常時監視・一時停止・Manager AI への報告・Kill Switch)
ここまでの操作は、すべて監査ログに記録され、ガーディアン AI が 60 秒ごとに常時監視しています。とくにAI社員本人がURLを選んで到達する web_fetch は、事前承認が無い代わりに、許可リストによる遮断(予防)と常時監視(検知)の二層で守られています。
ガーディアンが検知すること
| 検知内容(AI社員ごと) | 警告 | 重大 |
|---|---|---|
| 許可外ドメインへのWeb取得が遮断され続けている(10分間) | 3件以上 | 8件以上 |
| Web取得の回数が急増している(1時間) | 60件以上 | 180件以上 |
| Web取得のデータ量が急増している(1時間) | 50MB以上 | — |
| 取得URLにAPIキー・トークン・パスワードらしき文字列が含まれている | — | 1件で重大 |
| 社内ネットワーク・クラウドのメタデータ・localhost など非公開の宛先に到達しようとした | — | 1件で重大 |
| 一時停止中にもかかわらず取得を繰り返している(5分間) | — | 3件以上 |
検知したときに自動で起きること
- インシデントの記録。Office View のセキュリティ表示、Audit Log(「セキュリティ・インシデント」)、ガーディアン AI の日次監査レポート(Web 活動の節)に載ります。同じ種類の検知が続いても件数を更新するだけで、通知が連打されることはありません。
- Manager AI への報告。ガーディアンは Manager AI にシステム発話で報告し、Manager AI はその内容を読んで状況判断を返します(Manager AI の Command Inbox で経緯を追えます)。Manager AI の日次サマリーにも「incidents」として載ります。
- 管理者への通知。承認依頼の通知先に設定した Slack / LINE / Teams に、インシデントの要約が届きます。
- (重大のみ)60 分の一時停止。該当AI社員の
web_fetchだけが即座に止まります。停止中の呼び出しは「一時停止中」として遮断され、記録されます。ほかの業務やコネクタは止まりません。 - (重大のみ)Kill Switch の提案。承認センターと全社承認ボードに「guardian_incident」のカードが届きます。カードには検知内容・証跡の抜粋・提案(該当AI社員の停止)が表示されます。
管理者の判断: 承認・却下・放置
| 操作 | 結果 |
|---|---|
| 承認する | 該当AI社員が Kill Switch で恒久停止されます(一時停止は解除されます)。再開するには Kill Switch 画面で解除します |
| 却下する | 一時停止が即座に解除され、インシデントは「対応済み」になります。誤検知や、許可ドメインの登録漏れが原因だったときはこちらです。登録漏れは「Web閲覧許可ドメイン」を追加してから却下してください |
| 60分以内に判断しない | 一時停止は自動で解除されます(インシデントは「期限切れ」として残り、提案カードは残ります) |
手動の Kill Switch
ガーディアンの提案を待たずに止めたいときは、いつでも手動で停止できます。
- AI社員単位: Office View または Kill Switch 画面で該当AI社員を停止します。進行中の作業と定期タスクが止まり、新しい依頼は受け付けません。
- コネクタ単位(Connector Kill Switch): Connector Settings で
webや当該SaaSのコネクタを停止すると、全AI社員のそのコネクタ利用(承認済みの書き込みを含む)が止まります。ページ操作だけを止めたいときはこちらが便利です。 - 資格情報の無効化: Write許可ドメインからSaaSのドメインを削除すると、そのドメインの資格情報も無効になり、以後ログイン・操作の起票ができなくなります。
web_fetch です。承認済みの操作も、実行の記録(呼び出し・遮断・承認・実行・検証)はすべて当該AI社員の Audit Log に残り、ガーディアンの日次監査で振り返られます。制限事項
- Webコネクタはブラウザの「保存」によるファイルダウンロードに対応していません(手順4の代替経路を使ってください)。
- 多要素認証・CAPTCHA・画像認証を含むログインはできません。SSO(Google / Microsoft アカウント)のポップアップログインも対象外です。
- ページ操作は1回の申請につき最大10ステップです。長い手順は複数回に分けて承認します。
web_fetchは本文テキストの取得のみで、1ページあたり約2万字・2MBまでです。JavaScriptで描画されるページはWebコネクタで開いてください。- 利用者本人のブラウザやChrome拡張をAI社員に共有する機能はありません(AI社員は専用のブラウザセッションを使います)。
- 承認済みの操作を後から取り消す機能はありません。
困ったとき
| 症状 | 対処 |
|---|---|
| AI社員が「ログイン操作を起票できない」と答える | Connectors 画面の Write許可ドメインに対象SaaSのドメインがあるか、資格情報がそのドメインに登録されているか、AI社員のプロファイルがコネクタ利用(書き込みあり)で web を宣言しているかを確認してください |
| 承認したのに「ページが変わったため実行を中止」と出る | 承認までの間にログイン画面が期限切れになった等の理由です。もう一度依頼すると開き直して再申請します。承認は速やかに行ってください |
| 公開ページの取得が「遮断」になる | Web閲覧許可ドメインに登録されていません。管理者が Connectors 画面で追加すると即時に反映されます。遮断が続くとガーディアンが警告を出します |
| AI社員の Web 取得が突然できなくなった | ガーディアンの一時停止(60分)の可能性があります。承認センターの「guardian_incident」カードと Audit Log の「セキュリティ・インシデント」を確認し、誤検知なら却下して解除します |
| Kill Switch を承認してしまった | Kill Switch 画面で該当AI社員の停止を解除してください。解除後の業務は再度依頼が必要です |
| 誰が何を実行したか確認したい | 当該AI社員の Audit Log で、呼び出し・遮断・承認・実行・検証・Web取得・インシデントの全記録を確認できます |
AI Company Console