AI 社員の動作原理(しくみの分解図)

MIERU CREW 操作マニュアル — ペルソナ・スキル・コネクタ・MCP・チャネル・Gateway・RouteHub が何のためにあり、どう働き、どう作るか

このマニュアルでできること

「AI 社員」が何でできていて、指示を出してから結果が返るまでに何が起きているのかを、部品ごとに分解して説明します。各部品についてなんのためにあるのかどう働くのか独自に作るにはどうするかをまとめました。専門知識は不要です。読み終えると、オンボーディングAI やLLMコスト管理 AI が会話の中で使う言葉(ペルソナ、スキル、コネクタ、MCP、チャネル、Gateway、RouteHub)が分かるようになります。

全体像 — AI 社員は「人格 + 手順書 + 道具」で、決まった場所で働く

人間の社員にたとえると次のとおりです。ペルソナは人格と役割(誰で、何を、どんな判断基準で)、スキルは業務ごとの手順書、コネクタと MCPは外部サービスにつながる道具、チャネルは話しかける場所、Gatewayは AI 社員が働く執務室、RouteHubは頭脳(LLM)につながる交換機です。

あなたが話しかける場所(チャネル)
Command Inboxコンソールのチャット。常に使える
Slackスレッドで返信
Microsoft Teams
LINE
定期タスク決まった時刻に自動で指示
↓ 指示 / ↑ 結果・成果物・承認のお願い
AI 社員が働く執務室(Gateway = 実行エンジン)
AI 社員 Aペルソナ + スキル + 能力宣言
AI 社員 B
標準 AI 社員Manager / Guardian / LLMコスト管理 / オンボーディング
サンドボックス1 体ごとの隔離された作業部屋(外部通信は遮断)
↓ 考える
RouteHubLLM の交換機。仮想キー・呼び分け・予算・保険
OpenAI / Anthropic などの LLM
↓ 道具を使う
Connector Gateway全ツール呼び出しの関所。宣言照合・書き込みは承認・Kill Switch
コネクタ(freee / Gmail / 社内 API …)・MCP サーバ・ナレッジベース・Web
↓ 人が統制する
全社承認ボード採用・公開・書き込み・レポート発行の承認
監査ログ・Kill Switch・予算
大事なポイントは 2 つです。本物の API キーは AI 社員に渡らない(RouteHub と Connector Gateway だけが持つ)こと、外部への書き込みは必ず人の承認を通ることです。AI 社員がどれだけ賢くても、勝手に送金やメール送信はできません。

1 つの指示が処理される順番

1あなたが指示Command Inbox / Slack など
2コンソールの裏方(BFF)がタスクとして記録Task Board に残る
3Gateway が AI 社員を起動ペルソナ文書を読み、会話の続きなら前の文脈も読む
4RouteHub 経由で LLM に考えさせる難易度でモデルを自動選択
5必要なら道具を使うスキルの手順・コネクタ・MCP・ナレッジ
6書き込みなら承認申請承認後に Connector Gateway が実行
7結果を返す会話・成果物ファイル・監査ログ

3 と 4 を何度か往復して仕事を進めます。途中経過は Command Inbox の状態表示(解析中/実行中)に反映され、実行の記録は Task Board と Audit Log に残ります。

AI 社員 1 体の中身

AI 社員(例: 経理アシスタント)
ペルソナ — SOUL.md(名前・役割・口調・判断基準)/SKILL.md(行動指針・出力形式)/POLICY-*.md(業務ルール文書)
能力宣言 — 能力プロファイル(読み取り専用 / Web 調査 / コネクタ利用 / 書き込み)と、使うコネクタ・MCP の一覧。宣言していない道具は使えません
割り当てたスキル — 手順書(+必要なら小さなスクリプト)。何件でも追加・削除できます
頭脳の設定 — 既定の LLM 方針(crew-fast / balanced / strong / auto)と月次予算
見た目・所属 — スプライト(Office View のドット絵)、部署、名前
運用設定 — 定期タスク、紐付けたチャネル、AI 社員ごとの設定フォーム

この中身をひとまとめにした「設計図」を、オンボーディングAI は会話から作ります(ビルドプラン)。Persona Studio では同じものを画面から 1 項目ずつ作ります。

部品ごとの解説

ペルソナ — 「誰で、何をする人か」

なんのためAI 社員の人格・役割・行動指針を定めます。同じ LLM でも、ペルソナが違えば別の社員として振る舞います
どう働くGateway が起動時にペルソナ文書(SOUL / SKILL / POLICY)を「作業指示書(AGENTS.md)」として AI に渡します。会話のたびに読み直すので、文書を改版すると次の会話から反映されます
独自に作るにはオンボーディングAI と会話(推奨。Store の近いペルソナから派生も可)② Agent Store から採用(公開カタログ 433 体+公式)③ Persona Studio で文書を自分で書く。いずれも公開・採用はテナント内の承認を通ります

スキル — 「業務ごとの手順書」

なんのため「週報を 1 枚に整形する」「議事録を所定の書式にする」のような定型作業を、AI 社員に確実に同じ手順でやらせるためのものです。ペルソナ本文を長くせずに、作業単位で足し引きできます
どう働く割り当てられたスキルの手順書は AI 社員の作業指示書に同梱され、該当する依頼のときに参照されます。スクリプト付きのスキルはサンドボックス内で実行されます。運営のスキルカタログ(コミュニティ由来)は自動審査(Green=即公開・Yellow=運営の軽審査・Red=却下)を経て配信されます
独自に作るにはオンボーディングAI に「〜する手順書を作って」と頼む/Persona Studio > スキルで SKILL.md を書く。公開前にセキュリティ静的検査が入ります。割り当ては Capabilities 画面か、オンボーディングAI のビルドプランで行います

コネクタ — 「外部サービスへの接続口」

なんのためfreee・Gmail・Google Drive・社内 API などのデータを読んだり書いたりするための窓口です。認証情報(API キーや OAuth)は Connector Gateway が保管し、AI 社員には渡しません
どう働くAI 社員が「読み取り」ツールを呼ぶと即時に実行され、「書き込み」ツールは承認申請になります。呼べるのはそのペルソナが能力宣言で名指ししたコネクタだけで、Kill Switch で一括停止もできます
独自に作るには公式コネクタは Connector Settings で接続するだけ。社内 API などは Persona Studio > コネクタ(REST API の定義を書く)か、オンボーディングAI に「この API をつなぎたい」と頼みます。運営カタログのコミュニティ REST APIはワンクリックで有効化できます。API キーの登録は必ず人が行います

MCP — 「AI 向けの共通コンセント」

なんのためMCP(Model Context Protocol)は、AI がツールを呼ぶための業界標準の口です。MCP に対応したサービス(ドキュメント検索、SaaS、社内システム)なら、個別に接続定義を書かなくても AI 社員から使えます。MIERU CREW ではコネクタの一種として扱います
どう働く外部の MCP サーバが公開しているツール一覧を取り込み、読み取り/書き込みに分類して登録します。AI 社員は Gateway 経由でそのツールを直接呼び、Connector Gateway が宣言照合と承認を挟みます。上流のツール定義が変わると自動検知(ドリフト)し、変わったツールだけ止めます
独自に作るには運営カタログのコミュニティ MCP サーバ(公式 MCP Registry から日次で取り込み)をワンクリックで有効化するのが最短です。自社や取引先の MCP サーバは Persona Studio > コネクタで「MCP サーバ」を選び URL を登録して「ツールを取得」します。API キー方式の MCP は承認後に自社キーを登録します

チャネル — 「話しかける場所」

なんのためコンソールを開かなくても、普段使っている Slack / Teams / LINE から AI 社員に指示を出し、スレッドで返信を受け取るためのものです
どう働くチャネル(Slack のチャンネルなど)と AI 社員を紐付けると、そこでの発言がタスクになり、返信は同じスレッドに戻ります。承認待ちの通知も届きます。会話は Command Inbox にも「Slack」などのラベル付きで並びます
独自に作るにはChannels 画面で各サービスのトークンを登録して紐付けます。オンボーディングAI に「Slack の #keiri で報告して」と伝えると、ビルドプランに紐付けが含まれます。Command Inbox は設定不要で常に使えます

Gateway — 「AI 社員が働く執務室(実行エンジン)」

なんのためペルソナ文書を読み、LLM と道具を組み合わせて仕事を進める実行エンジンです(OpenClaw Gateway)。AI 社員はすべてこの上で動きます
どう働くAI 社員ごとに隔離されたサンドボックス(作業部屋)を用意し、外部通信を遮断した状態で作業させます。使えるツールは能力宣言に基づく許可リストで制限され、MIERU CREW のブリッジがすべてのツール呼び出しを検査します。採用や改版のときに数十秒再起動します
独自に作るには製品の一部なので作成・変更は不要です。再起動やイメージの再ビルドが必要なときは Operations から安全に実行できます

RouteHub — 「LLM の交換機」

なんのためAI 社員が LLM を使うときの窓口です。本物の API キーを 1 か所で管理し、AI 社員ごとの予算・利用記録・モデルの呼び分け・障害時の保険を一括で扱います
どう働くAI 社員には「仮想キー」が配られ、呼び出しはモデルの別名(crew-fast / balanced / strong / auto)で行われます。RouteHub が難易度や予算の消化ペースに応じて実モデルを選び、費用を記録します。予算に近づくと安いモデルへ自動で切り替え、使い切ると停止します
独自に作るには作るものではなく設定するものです。トークンを 1 つ登録し、LLMコスト管理 AI と会話して呼び分け・予算・保険・新モデルへの乗り換えを決めます(承認 1 回で適用)

Connector Gateway と承認 — 「道具の関所」

なんのためAI 社員のすべての道具呼び出しを 1 か所で検査し、「宣言していないコネクタは使わせない」「書き込みは人が承認する」「緊急時は一括停止する」を保証するためのものです
どう働く読み取りは即時、書き込みは承認申請を起票して全社承認ボードへ。承認されると Connector Gateway が実行し、可能なら読み戻して検証します。結果は監査ログに残ります
独自に作るには製品の一部です。承認の運用(誰が承認するか)は Settings のロール設定で決めます

そのほかの部品

ナレッジベース社内文書(PDF / Word / Excel など)を取り込み、AI 社員が意味で検索できるようにする内部コネクタ。Connector Settings から文書を登録します
メディア生成画像・動画を作る内部の道具です。AI 社員は自分の仮想キーで RouteHub の画像・動画モデル(crew-image / crew-video)を呼ぶため、費用は AI 社員ごとに計上され、回数上限と月次予算で制御されます。生成物は成果物としてチャットに届きます。
定期タスク(スケジューラ)決まった時刻に指示を自動投入する仕組み。「毎朝 9 時に集計して報告」のような業務に使います(6. 定期的なタスク
標準 AI 社員全テナントに最初から在籍する 4 体。Manager(全体の稼働と承認の点検)、Guardian(監査・セキュリティ)、LLMコスト管理(費用と RouteHub)、オンボーディング(AI 社員づくりの相談役)。採用解除はできません
スプライトOffice View に表示されるドット絵。ペルソナから自動生成(承認後・30〜40 分)するか、プリセット・アップロードから選びます
Persona Studioペルソナ・スキル・コネクタを画面から自分で作る開発室。オンボーディングAI が作った下書きやビルドプランもここで確認できます

「独自に作る」早見表

作りたいものいちばん簡単な方法(会話)画面で作る方法使えるようになるまで
新しい AI 社員オンボーディングAI に「こんな AI 社員が欲しい」Agent Store で採用 / Persona Studio > ペルソナビルド承認 1 回(会話)/ 公開承認+採用(画面)
既存 AI 社員の修正Profile の「オンボーディングAIと修正する」Persona Studio で改版(自社製のみ)承認 1 回で差し替え
スキル(手順書)オンボーディングAI に「〜の手順書を作って」Persona Studio > スキルビルド承認 / 公開承認 → Capabilities で割当
コネクタ(REST API)オンボーディングAI に「この API をつなぎたい」Persona Studio > コネクタ / コミュニティ REST カタログ承認後に管理者が API キーを登録
MCP サーバオンボーディングAI に「この MCP を使いたい」コミュニティ MCP カタログ / Persona Studio > コネクタ(MCP)Green は即時、Yellow は承認 1 回
チャネルオンボーディングAI に「Slack の #xx で報告して」Channels 画面トークン登録は人が行う
LLM の設定LLMコスト管理 AI に「〜したい」LLM Control の各タブ承認 1 回(会話)/ 即時(画面)
どの経路でも、公開・採用・書き込み・権限昇格は必ずテナント内の承認を通り、監査ログに残ります。AI 社員(オンボーディングAI・LLMコスト管理 AI を含む)が自分で承認することはありません。

用語ミニ辞典

言葉意味
LLMChatGPT や Claude のような大規模言語モデル。AI 社員の「頭脳」
トークンLLM が文章を数える単位(日本語 1 文字≒1〜2 トークン)。費用の単位でもあります
エイリアスモデルの別名(crew-fast など)。中身のモデルを差し替えても AI 社員側の設定は変わりません
能力プロファイルAI 社員に許す行動範囲。読み取り専用 → Web 調査 → コネクタ利用 → 書き込み、の順に広がります
サンドボックスAI 社員ごとに隔離された作業部屋。外部通信は遮断され、成果物は決まった出口から回収されます
4-eyes(承認)申請した人と別の人が承認する運用。AI 社員が申請した場合は必ず人が承認します
Kill Switch書き込み・コネクタ・LLM を緊急停止するスイッチ(Settings)

AI 社員の記憶(覚えていること・忘れること)

AI 社員は、同じ会話の中では前の発言を踏まえて答えます。会話をまたいで覚えておくべきことは、AI 社員が自分の記憶ノートに書き残し、次の会話で検索して思い出します。

Gateway から外へ出られる通信は、許可されたドメインへの Web ページ取得だけです。出口は許可リスト付きのプロキシで、AI 社員ごとに読めるドメインが照合されます。それ以外の外向き通信はありません。

しくみ説明
記憶ノート「覚えておいて」と頼んだこと、決定事項、継続中の案件の要点を、AI 社員が日付ごとのメモに書きます。人が読める Markdown ファイルです。
思い出す過去の経緯に触れる質問を受けると、AI 社員はメモを検索(意味検索とキーワード検索)してから答えます。
別の会話の思い出し過去の経緯を聞かれると、AI 社員は同じ AI 社員の過去の会話(Command Inbox の別セッション)も検索して思い出します。別の AI 社員の会話は検索できません。検索できるようになるまで数分かかることがあります。
長期記憶夜間(午前 3 時)に、何度も参照された重要な事項だけが長期記憶(MEMORY.md)に整理・昇格され、以後は会話の最初から読み込まれます。
範囲記憶は AI 社員ごとです。別の AI 社員の記憶は見えません。Command Inbox の会話はテナント共通なので、記憶もテナント共通です(ユーザー別ではありません)。
書かないものAPI キーやパスワード、個人の機微情報、添付ファイルの中身そのものは記憶に書かないよう指示されています。
使い方のコツ: 覚えてほしいことは「覚えておいて」と明示すると確実です。思い出してほしいときは「前に話した〜の件」のように過去に触れると、AI 社員が記憶を検索します。記憶を消したい場合は運営にご依頼ください(会話単位で削除できます)。

AI 社員の分身(サブエージェント)

コネクタを使える AI 社員は、大きな依頼を自分の分身に分けて並列に進めることがあります(例: 複数の資料をそれぞれ要約してから統合する)。分身は同じ AI 社員そのもので、同じ権限・同じ道具・同じ月次予算で動きます。別の AI 社員を勝手に呼び出すことはできません。

分身は同時に 3 体まで、1 体あたり 10 分までです。分身が動いている間、Office View では「サブタスク実行中」と表示されます。閲覧専用の標準 AI 社員(Manager AI など)は分身を使いません。

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